「Web2.0と著作権の本質」を聴講してきました
2007.12.17 / web20
家から近いのと、著作権周りの話について一度ちゃんとした形で勉強したかったのがあったので、学習院大学計算機センター 主催の「Web2.0と著作権の本質」を聴講してきました。
まず、早稲田以外の大学で授業を受けることすら初めてだったので、やや会場でドキドキしつつ、久々に学生が一杯いる空間に入ることもかなり新鮮。でも、なかなか満足度の高い時間を過ごすことができました。以下、講義のメモを残しておきます。
「本質」とは?
- 野球の本質右→「ホームベースを踏む」
- みんながそこに目指すもの、そこから次の世界へ開けるもの
インターネット
- 検索、楽しむ、買い物、情報発信、学習、人とのコミュニケーション、外の計算機を利用・・
- これらを提供する場
- Web(1.0)→Web2.0は、「本質」が変化した
- 「特定の意見を持つ人が発信→みんなが受信」から「みんなが発信、みんなが受信」
著作物
- 第二条第一項(定義)
- 1. 思想又は感情 ・・・ 憲法が保障
- 2. 創作物 ・・・ 基本的には「ゼロから作った物」だけど、これは眉唾
- 3. 表現 ・・・ 知覚可能なもの、周りから見れる、読める
- 4. 文芸・学術・美術・音楽
- これらの4つを「要件」
- 基本的なideaは「自分が表現したものは、誰かの次の一歩、新しい表現になる」
著作物の具体例
- 第十条
- 音楽=著作物ではない
- つまり、「〜なら著作物」と、いうものではない。「そうであるものも、ある」くらいのもの。
- 個人の日記においても、要件を満たさないもの - たとえば事実をただ述べただけのもの - については著作物に当たらない
著作者の権利
- 第十七条
- 著作者には「著作者人格権」「著作権」の2つの権利がある
- これらの著作者の権利は、全自動で得られる。©とかわざわざ付ける必要もない=>無法的主義
- 著作者人格権は「公表権(作ったものを公表するかどうか)」「氏名表示権(名前を出すか出さないか)」「同一性保持権」の3つ
- 著作者が「嫌な気持ちにならないため」のもの
- 著作権は第二十一〜二十八条で定義されている
- 著作権の行使については第六十三条で定義
- 著作権の保護期間については第五十一条で定義
- 著作権の制限については第三十〜五十条で定義
- ここ数年は、「次に掲げる場合をのぞき・・・」の例が増えてきている
- 著作権の制限は、著作権法の良心。これがなくなるとやばい。厳しくなると新しい著作物が生まれなくなることも。
- アメリカの著作権は「この事例はFairか、どうか?」だけのシンプルなものになっている
著作権法の本質
- 「権利の保護」「公正な利用」の2つのバランス
- そもそもは「文化の発展」が目的
- この対比として特許法がある。特許法は「産業の発達」が目的
- 破れた技術は社会的地位を失うこととなる
- 「特許法」=> No.1
- 「著作権法」=> Only1
- 著作権は「多様化」を促進させるためのもの。(本当は)Web2.0の描く思想的な世界
講義で話されていた内容はざっとこんな感じです。
著作権についてかなり一般的な話&&聴講者がFlickrもiKnowも知らない人が多いような人たちであったこともあるのか、本当にイントロダクションで終わったんだろうなあ、という印象が強いです。法律的な面から見た著作権の中身は、ざっと理解できたつもりなので、ここから現実に起こっている著作権の解釈についての問題、およびその対策(対応)の動向、その辺りまでつっこんで聞きたかったです。今だったらMIAUとの絡みは絶対聞きたいところだったし。。でも、時間も2時間と限られている中では、満足いく内容でした。問題意識も強まったことですし。特に特許法との比較、only1/No.1の違いについては初めて聞いた話だったので軽く衝撃的でした。
もし続編があったらぜひ聴講したいわけですが、なかなか難しそうです。こんな感じの法律に関する問題は、僕はblogやまとめサイト読んでもいまいち本質が理解できずにスッと流れてしまうことが多いらしく、できたら生の声で学びたいわけですが、そんな場はどこかあるんでしょうかね。とりあえずは近場の大学の公開授業を探すのが手になるんでしょうか?